シンスプリント

シンスプリントのおもな原因は、オーバーユース、疲労の蓄積、柔軟性不足と考えられています。

●オーバーユース

オーバーユースとは「練習のしすぎ」「使いすぎ」を指します。
シンスプリントの場合、日頃の練習過多によって足に負担がかかりすぎることで発症するとされています。
シンスプリントはおもにすねの筋肉に痛みを生じる症状であり、次のような競技に多く発症がみられます。

・陸上競技（短距離、長距離）
・駅伝やマラソン
・サッカー
・バスケットボール
など

走る距離が長かったり、繰り返しダッシュを行ったりする競技では、シンスプリントを発症するリスクが高くなります。
とくに小学校高学年～中学生は、身体が成長段階であるため筋力不足や筋バランスの崩れによって負担がかかりやすい状態です。
そのため、シンスプリントを含むスポーツ障害の発生には注意が必要です。

●疲労の蓄積

すねの筋肉に疲労が蓄積していると、筋肉が緊張（硬くなる）しやすくなります。
筋肉に疲労が蓄積した状態で激しい運動を行ってしまうと、筋肉の伸縮動作がスムーズに行われず痛みを生じる場合があります。
疲労の蓄積を防ぐためには、日頃のケアや休息をバランスよく行うことが大切です。

●柔軟性不足

筋肉や関節の柔軟性が足りていないと運動時にかかる負荷が増え、シンスプリントを発症しやすくなるといわれています。
そのため、スポーツを行う方は次のようなケアが必要となります。

・ストレッチ
・十分な休息
・身体を温める
など

上記のようなケアが上手く行えていないために、スポーツによってケガをしてしまう方が多くいらっしゃいます。
シンスプリントを防ぐには、チームでクールダウンを行ったり、指導者が適切なケアの方法を指導したりすることも重要となります。

シンスプリントを発症すると、すねの内側の筋肉（後脛骨筋）に痛みや腫れなどの症状をともないます。

●すねの内側の痛み

シンスプリントは後脛骨筋が緊張することで痛みを生じます。
後脛骨筋は足首を曲げる（下に向ける）動きや、足首を内側に向ける動きを行う筋肉です。
そのため、シンスプリントを発症すると上記のような足首の動きで痛みを生じると考えられます。

また、歩行時には足首の動きが不可欠であるため、歩行時にも痛みが起こります。
走る動作や跳躍動作でも痛みを生じるため、陸上競技やバスケ、バレーといった競技の練習が困難になる場合が考えられます。

シンスプリントでは後脛骨筋が緊張するため、動かしたとき以外にも筋肉を直接押すと痛みを感じる場合があります。

●すねの内側の腫脹（腫れ）

シンスプリントを発症すると、脛骨（すねの骨）に沿ってすねの内側が腫れてしまう場合があります。
これは筋肉が過度に動かされたことで起こる炎症と、筋肉の過緊張によって起こる筋肉の膨隆（盛り上がり）であるケースといわれます。

炎症の場合、練習中や練習後に多くみられ、筋肉の膨隆の場合は疲労の蓄積によって常に起こる可能性があります。

●そのほかの動作での痛み

シンスプリントでは、次のような動作で痛みを生じる場合が多いです。

・長時間の歩行
・患側（痛めた側）の脚への荷重
・跳躍動作
・階段の昇り降り
など

上記のように、シンスプリントを発症するとスポーツでの動作以外に日常生活動作においても痛みを生じやすくなります。
シンスプリントによって日常生活に支障をきたさないためにも、常に身体の調子を把握し未然に発症を防ぐことが重要です。
練習の管理や疲労の度合いについては、日々の自己管理も大切なので気をつけるようにしましょう。

シンスプリントを発症した際、適切な処置を行うことで痛みを軽減する効果が期待できます。

●冷やす

シンスプリントは、炎症をともなう症状です。
そのため、練習後に後脛骨筋（すねの内側）に炎症がみられる場合は、患部を動かさずにアイシングを行うようにしましょう。
アイシングによって炎症を早期に消失させることが、回復を早める結果につながるといわれています。

アイシングを行う際は冷やしすぎによる凍傷に注意するために、氷のうやアイスパック（保冷材も可）をタオル越しに当てるようにしてください。

●柔軟性を向上させる

シンスプリントの症状を軽減させるためには、すねやふくらはぎの筋肉へのストレッチが効果的とされています。

・すねのストレッチ

立った状態でつま先を地面につけ、足の甲を伸ばすイメージで足首を（下に）曲げていく

・ふくらはぎのストレッチ

脚を伸ばした状態で座り、手でつま先を掴み手前に倒す

すねやふくらはぎのストレッチは運動後だけでなく運動前にも必ず行い、常に筋肉の柔軟性を維持できるよう心がけましょう。
ストレッチを行うことで痛みを和らげるほか、シンスプリントの予防にも効果的といわれています。

●運動を中止する

運動中にすねの内側に痛みや違和感を覚えた場合には、運動を中止しましょう。
はじめは違和感程度であっても、違和感を抱えた状態で運動を続けた結果痛みをともなう症状となってしまう可能性もあります。
そのため、少しでも異変を感じたら早期に運動を中止しケアに努め、症状を最小限にとどめることが大切です。
シンスプリントのようなスポーツ障害は、痛みや疲労を抱えた状態で運動を続けることでも発症しやすいため、早期の判断で未然に症状を防ぎましょう。

シンスプリントを起こさないためには、日頃のケアや身体の使い方を見直してみましょう。

●土踏まずのアーチの強化

後脛骨筋はすねの内側から足底の中心付近に付着する筋肉です。
そのため、足の裏（土踏まず）のアーチを鍛えるとシンスプリントの発症を防ぐ効果があるといわれています。
土踏まずのアーチを鍛える方法としては、次の方法がおすすめです。

・タオルギャザー
・ゴルフボールを使ったトレーニング
・青竹踏み
など

タオルギャザーとは、足の指でタオルを掴んだり離したりするトレーニングです。
普段から足の指の細かい動きを行うとアーチが刺激され、負担がかかりにくくなるとされます。
また、ゴルフボールを掴む運動や、青竹のような硬いものを踏むことでもアーチの刺激が可能となります。

●運動前後のケア

ウォーミングアップやクールダウンを行うことで、シンスプリントの発症を防ぐ効果があるといわれています。

・ウォーミングアップ

運動前に軽いジョギングやストレッチを行い、筋肉を温めた状態での運動はシンスプリントを含むさまざまなケガの予防につながります。

・クールダウン

練習後のストレッチやマッサージ、アイシングは、疲労の蓄積を防ぎケガの予防につながると考えられています。

●サポーターの使用

サポーターを使用することで筋肉への負担を軽減し、シンスプリントの発症を防ぐ効果が期待できます。

●フォームの修正

長距離ランナーであれば、ランニングフォームを修正するといった工夫でシンスプリントの予防が可能です。
「足をまっすぐつく」「背中を丸めない」といった点に注意して、正しいフォームを心がけましょう。

当院では、シンスプリントの症状が疑われる場合にはまず入念な検査を行います。
症状を正確に把握することは正しい施術を行うためには必要不可欠であるためです。

検査の内容に応じて、手技や電気療法を駆使して症状の改善を目指していきます。

シンスプリントは足にみられる症状であることから、日常生活に影響がでやすいことも考えられるため、なるべく早く痛みが緩和できるよう努めて参ります。

発症に強く影響する原因としてオーバーユースが考えられますので運動後のケア方法についてなどもアドバイスいたします。