鍼灸

鍼施術は東洋医学の考えのもとに、古くから行われている施術です。
鍼によって筋肉や経穴（けいけつ）と呼ばれる身体に360以上あるツボを刺激し、身体に反応を起こさせ痛みや不調を改善していくとされています。
鍼施術で使用する鍼には、たくさんの種類が存在します。

鍼施術は「長さ・太さ・材質」が異なる、さまざまな種類の鍼を使用することが特徴です。
多くの場合「ディスポーサブル鍼」と呼ばれる使い捨てのステンレス鍼を使用しますが、なかには金や銀などの金属を使用した鍼を用いる場合もあります。
また、小児鍼（子ども向けの鍼）の場合、鍼先が尖っていない「刺さない鍼」を使用します。
小児鍼の施術では、皮膚の上で鍼を転がす、鍼で撫でるように刺激を与えていきます。

鍼施術は患者様の身体に直接鍼を刺し、皮膚に小さな傷をつくり身体の自己修復能力を高めていく施術です。
筋肉の緊張を和らげる目的で鍼施術を行う際は、刺した鍼に電極を取り付け電気を流す低周波パルスという手法を行う場合もあります。
鍼施術は、自己修復能力を高めることで鎮痛効果や血行促進効果が得られ、患部の痛みや不調を改善していくと考えられています。

鍼施術の特徴は次のとおりです。

・さまざまな種類の鍼を使用する
・電気刺激を加える施術の方法もある
・使い捨てのステンレス鍼の場合は、非常に衛生的

鍼施術は身体に鍼を刺すことによる痛みはほとんどないといわれます。
施術に使用する鍼は髪の毛ほどの細さであるため、鍼施術が初めてという方もそれほど不安を感じず施術を受けていただけるのではないでしょうか。

東洋医学では、鍼と同様に灸を使用した施術が古くから行われています。
「艾（もぐさ）」と呼ばれる灸を皮膚の上で燃焼させ、温熱作用によって血行促進や痛みの緩和を目的とした施術となります。
灸施術には「直接灸」と「間接灸」の2種類の施術方法があります。

灸施術では、症状や患者様の体調に合わせて、直接灸・間接灸の2種類の手法で施術を行います。

●直接灸

直接灸は、皮膚の上で直接艾を燃焼させる手法です。
症状がある部位で艾を燃焼させ、刺激量を調整しながら何度か繰り返し刺激を与えていきます。
小さい艾は刺激量が少なく、じんわりと熱を与えることができます。
大きな艾では熱刺激が強くなるため、熱さを感じた時点で艾を除去します。
直接灸は常に程よい刺激で艾を取り除くため、熱すぎたり火傷を起こしたりする心配がほとんどないといわれています。

●間接灸

間接灸は、おもに艾と皮膚の間に緩衝物を挟んだ状態で行う手法です。
「隔物灸（かくぶつきゅう）」では艾を直接皮膚に置かず、「みそ・塩・しょうが・ビワの葉」などを挟み、艾を燃焼させます。
また、間接灸には皮膚から離れた部位で灸をする方法もあります。
たとえば「棒灸」は、棒状に包んだ艾を燃焼させ、皮膚の上にかざすようにしながら動かします。
「灸頭鍼」では、患部に鍼を刺し、鍼の持ち手に丸めた艾を取り付け燃焼することで、輻射熱（ふくしゃねつ）を利用して広範囲に温熱作用を与える効果があるとされます。
関節灸は挟むものによって、さまざまな効果が期待できるといわれています。

灸施術の特徴は次のとおりです。

・艾を燃焼させ温熱作用を得る
・直接灸と間接灸がある
・さまざまな効能を得られる手法がある

灸施術は身体の芯から温まり、気持ちよさも実感できる施術方法とされています。

鍼施術で期待できる効果は次のとおりです。

●自然治癒力のアップ

鍼施術では、鍼を刺すことで身体の表面に小さな傷をつくり、身体の自然治癒力を向上させる作用で痛みや不調を改善に導きます。
身体に傷をつくり体内からその傷を治そうと血流を集める働きが起こるため、その効果によって自然治癒力のアップを狙うと考えられています。
自然治癒力が高まると血流が改善され、痛みの緩和にも効果が期待できるといわれています。

●血流改善

鍼を刺すことで自然治癒力が高まるほか、血流改善効果が期待できます。
鍼によってできた傷を治すために血流が促されますが、その際血液の流れだけでなくリンパや体内の水分の循環も良くなるといわれています。
鍼施術を行った後に一時的に身体がかゆく感じる場合がありますが、それは鍼によって血流が促進するためと考えられています。

灸施術で期待できる効果は、「血流改善」と「自律神経のバランス調整」です。

●血流改善

灸施術を行うことで深部血流が促され、身体全体の血流を促進する効果が期待できます。
身体の痛みや不調を取り除くためには血流改善が欠かせないため、灸施術によってさまざまな症状の改善につながるとされています。

●自律神経のバランス調整

自律神経は「交感神経」と「副交感神経」からなり、それぞれのバランスが崩れると身体の不調を生じるとされています。
とくにストレスやホルモンバランスの乱れによって交感神経が優位に立ちやすいため、バランスを崩して身体の不調が起きやすくなっています。
灸施術では、身体が温まることで「副交感神経」が優位に立ってリラックスしやすい状態になるといわれています。
そうして、自律神経の働きを調整しバランスを整えます。

鍼灸施術は、次のような症状を改善へ導く効果があると考えられています。

●慢性症状（慢性痛）

鍼灸施術は、慢性的な身体の痛みに対して高い効果を発揮するといわれています。

・肩こり
・腰痛
・坐骨神経痛
・膝痛
など

鍼や灸によって、血流を改善し筋肉の緊張を緩和する効果が期待できます。
そのため、筋肉の硬さがおもな原因とされる症状は改善へと導くことが可能といわれています。

●ケガの痛み

捻挫や肉離れなどのケガは、ケガをした後に患部周辺の筋肉が硬くなりやすく、筋肉の緊張による痛みが残りやすいと考えられます。
その際、鍼灸施術を行うことで根本からアプローチして、症状を早期改善へとつなげます。

・外傷（ケガ）
・寝違え
・ぎっくり腰
など

筋肉や関節の痛みに対し鍼灸施術は高い効果を発揮するため、ケガの改善を目的として鍼灸施術が行われる場合があります。

●身体の不調

鍼灸施術によって、身体に起こるさまざまな不調を改善する効果があるといわれています。

・頭痛
・冷え
・むくみ
・便秘や下痢
など

鍼灸施術では、内臓機能を向上させる効果にも期待がもてます。
内臓は血行不良を起こすと機能が低下するため、鍼灸施術によって血流を促進し身体の不調を改善できると考えられています。

●不定愁訴（ふていしゅうそ）

不定愁訴とは、とくに原因がはっきりしないものの身体に不調が起こる症状といわれています。
不定愁訴では次のような症状がみられることがあります。

・不眠、睡眠障害
・動悸
・息切れ
・身体のほてり
・食欲不振
など

不定愁訴は女性に現れやすく、ホルモンバランスの崩れが関わっていると考えられています。
鍼灸施術によって自律神経の働きを整えることで、不定愁訴の改善にも効果が期待できます。

鍼灸はとても歴史のある施術で、鍼灸施術を行うには国家資格が必要です。
当院では、国家資格を保有した鍼灸師が、患者様の身体の不調に対して、適切に処置を行っていきます。

「刺されると痛そう」「熱そう」など、鍼灸施術に少し不安な気持ちを方もいるかと思います。
ですが、安心ください。

苦手な方には刺激の調整が可能ですし、それでも合わない方には別の方法で患者様の不調を改善させていただきます。

身体の悩みを抱えている方はぜひ一度ご相談ください。