電気療法

人間の身体は一つひとつの細胞が電気を帯びており、通常は細胞内が「－」細胞外が「＋」となっています。
そこに何かしらの刺激が加わると細胞内が「＋」細胞外が「－」へと変化します。
このように、人間の身体は外部からの電気的な刺激に敏感に反応するといった性質をもっています。

その人間が本来もっている電気的な性質を上手く利用し、外部から電気刺激を加えることで痛みを和らげようとする施術が電気療法です。
電気療法は物理療法に含まれ、温熱、超音波療法などと同じく、ケガの施術の際に使用します。
電気療法の施術は、筋肉の緊張や血行不良といった症状の緩和・改善が期待できます。

電気療法で使用される電気の種類や特徴は次の通りです。

・低周波
・干渉波
・EMS（高周波）
・光線

電気療法では上記の異なる周波数の電気を使用し、施術を行います。

●低周波

低周波は、1,200Hz以下の微弱な電流を流し、その電気刺激によって筋肉の緊張や痛みを緩和する施術となります。
深度が浅く、電気を流した際特有の「ピリピリ」とした感覚を覚えることが特徴です。
最近では、家庭でも使用できる低周波治療器が販売されるなど、広く浸透した施術方法とされています。

●干渉波

干渉波とは、異なる2つの電流（中周波）を身体のなかで干渉させ、電気刺激を与える施術となります。
電気刺激を流しても皮膚の抵抗を受けにくく、刺激が深部まで到達しやすいことが特徴です。
また、電流の強さを調節可能であるため、刺激を与えたい筋肉の深度にピンポイントで伝えることができます。
低周波ほどピリピリとした感覚はありません。

●EMS

EMSとは、電気刺激によって筋肉に多動運動をさせ、痛みの緩和や筋力強化を図る施術となります。
EMSの特徴は次の通りです。

・鎮痛効果
・深部透過性
・筋収縮作用
・代謝亢進作用
など

EMSは整骨院・接骨院でも広く使用され、おもにケガの改善やリハビリ、筋力強化などの効果が期待できます。

●光線

特殊な光線（紫外線や可視光線）によって、骨の強化や血流改善を目指した施術を行います。
医療の場では、生活習慣病やがんの施術にも使用されることがあるといわれます。

電気療法は、次のような症状に対して効果的といわれています。

・慢性症状（肩こり、腰痛、筋肉疲労など）
・外傷（ケガ）
・障害
など

電気療法を行うことで、マッサージやストレッチでは刺激を与えづらい部位に刺激を与えられるほか、患者様の身体に負担をかけることなく施術が可能といわれています。
電気療法は寝ているだけでも施術が可能であるため、高齢者の方はもちろん、ケガで身体を動かせない方や障害を抱えている方にとっても効果的な施術方法です。

電気療法による施術効果は、次の通りです。

●鎮痛効果

ケガによって傷ついた筋肉や細胞は、電気刺激によって活性化され、鎮痛効果を得られるといわれています。
そのため、身体の深い部分にある筋肉を痛めた場合でも、電気療法によって症状の改善が期待できます。
実際に、整骨院・接骨院やスポーツの場において電気療法は頻繁に行われ、プロのアスリートや部活動を行う学生などたくさんの方の症状を改善に導いています。

●筋緊張の緩和

電気療法によって筋肉を刺激すると、血流が促進し筋肉の硬さを緩和する効果が得られるといわれています。
筋肉は表面から身体の深部まで存在しますが、使用する電気の種類によってどの層にある筋肉にも適切な刺激を与えることが可能です。

●可動域の改善

四十肩・五十肩や捻挫などの外傷によって関節の可動域が低下した場合にも、電気療法によって症状の改善が期待できます。
可動域制限によって自力では動かせない部位でも、EMSによる他動的な刺激によって筋肉運動を促進させることで、関節運動を行いやすくできます。

●血流の改善

電気療法によって筋肉運動が促進されると、血流改善の効果が期待できると考えられています。
そのため、外傷や慢性症状などさまざまな症状に効果を発揮するといわれています。

●早期回復

電気療法によって他動的に筋肉や関節に刺激を与えることで、ケガの回復を早め仕事やスポーツへの早期復帰へつながるといわれています。
手技療法ではアプローチが困難とされる深部の筋肉に対しても電気療法では刺激が可能であるため、より早くケガの症状を改善する効果が期待できます。

当院では、スポーツのケガや慢性的な不調がみられる方に対して電気療法を使用することがあります。

電気療法は、人の手ではアプローチが難しい場所に刺激を与えられます。
電気特有のピリピリとした刺激を苦手とする方もいるかと思いますが、その際はぜひ相談ください。
刺激量を調整し、患者様が不快に思わない程度の力で改善を目指していきます。

それでも苦手という方には別の方法で改善を目指していきますので、なんでもお申し付けください。